Thursday, August 09, 2012

トニー・スコット監督の「デジャヴ」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.292

これは第288回で紹介した同じトニー・スコット監督の「エネミー・オブ・アメリカ」に悪乗りしてさらに先を行くような映画で、ここでは、アメリカ政府は宇宙と地上のいたるところに張り巡らした精密な監視カメラで全住民のプライバシーを暴き尽くして犯罪を捜査しているのである。

 しかも単にターゲットを追跡して動画再生するのみならず、48時間に遡って既に生起した事象に現在時からかかわることすら出来るのであるから、これが本当ならノーベル賞どころか天地がデングリ返る世紀の大発見であろう。

 しかし普通はいくら最新科学技術を駆使しても、過去を書きかえて新しい現在をもたらすことなぞ不可能であると知っているから畏れ多い不可知の領域に踏み込むのを控えているのだが、この映画ではなんとNYでテロリストによって爆破転覆させたれた大型フェリー事故をなかったことにして死者をよみがえらせ悲劇を帳消しにしてハッピーエンドをもたらすのである。

 凄いというか無謀というかハチャメチャである。製作者も監督もとても正気とは思えないがたかが映画だからなにをどう描いても許されるのだろうね。


    三人の娘に手厚く介護され九十一を全うせしひと 蝶人

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