Sunday, August 26, 2012

夏の終わりに




バガテルop157&茫洋物見遊山記第91


長男と妻と3人で由比ヶ浜の海水浴場へ行く。毎年17,8回はここへ通うのだけれど、今年は天候不順や義母のお葬式で今日で11回目の海行きである。

 幸い県営の駐車場は空いていたのだが、生憎の台風で遊泳禁止の赤旗が強風にはためいている。鎌倉の全部の海水浴場が同じ状態だというので、急遽逗子海岸に向かった。悪名高き東京都知事の別荘がそびえる山頂の下に広がるこの海水浴場は、内海でいつも波ひとつなく凪いでいるのだが、さすがに今日はかなり波が打ち寄せている。

しかし監視所の上に歯は黄色い旗が出ているので遊泳は可能だ。私は息子と一緒に混雑する浜辺に降りていった。妻は10年目のカローラで懸命に駐車場を探しているが、夏休みもおわり間近の日曜の昼下がりでは無理だろう。

長男は子供のころから海水浴が大好きで、施設が休みになる土日は必ず海に連れて行けと親に命じるのである。彼は泳げないのだが、派手な星条旗のデザインの浮輪にどっかりと身をゆだね、まるで銭湯に浮かぶように入道雲の相模湾に浮かんでいる。

いつものように3、4回海に入り、その都度持参したお茶をゴクゴクと飲み、だいたい40分経過したところで「もう帰ります」とのたまわったので、携帯で妻に連絡し海岸道路で拾ってもらって帰宅した。

鎌倉も逗子も海水浴客は年々減っているようだが、浜に甍を並べたド派手な着脱所が揃って8拍子の無粋で不気味なビートを連打していてうるさくてかなわない。セーラムをくわえたビキニの女たちが虚脱した表情で踊り狂っていたが、世界中どの海岸へ行っても夏の浜辺は静謐そのもの。海水浴と無為無音そして夢想を楽しむのが夏の掟であることを知ってもらいたいものだ。

「お父さん浮輪潰してください」の一言で我が家の夏休み終わりぬ 蝶人


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