Tuesday, August 28, 2012

ジョン・フォード監督の「タバコ・ロード」を見て



 闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.298

コールドウエルの原作を1941年にダリル・F・ザナックが映画化したモノクロ映画。ジョン・フォードの映画とはいってもその大半は大物実力プロデューサー、ザナックが縦横無尽に切り刻んだものであることは彼の浩瀚な自伝を読むとありありと書かれている。偉大な名監督といってももっと偉大なプロデューサーにかかってはかたなしであるな。

時代に取り残された南部の農園を舞台に貧乏な小作人が新興金持ち勢力に駆逐されてゆく成り行きを描いた作品であるが、勝者が乗り回すフォードの新車、弱者が馬に曳かせる粗末な馬車。その時代の変転に泣く者、悲しむ者、踊り狂う者たちをジョン・フォードのキャメラが冷徹に見据える。

中原中也の「泣くも笑うもこの時ぞ、この時ぞ」というリフレインを思い浮かべながらしばしモノクロ画面を眺めていた。


ディーリアスの曲流してや盂蘭盆会 蝶人

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