Friday, December 28, 2012

ビャンバスレン・ダバー監督の「天空の草原のナンサ」を見て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.371

ワカメ「「モンゴルの女性監督が母国の実在の家族を起用してその日常を描いたドイツ映画です。」

マスオ「大草原で羊の放牧をやっている一家の貧しいながらも楽しいパオの中での暮らしぶりが私たちの心を洗う。映画では別の放牧地に移動するためにパオを解体する様子をくわしく紹介しているが、この解体や組み立ては一人では無理だな。」

カツオ「若い夫婦には二人の女の子と一人の幼い男の子がいるんだけど、物語のナンサという女の子が草原で拾ってきた犬が問題。その前にそもそもナンサが言いつけられた羊の面倒をほっぽり出して犬探しに夢中になるのが問題。こんなのは我が家では絶対に許してもらえないよね」

波平「牧人が一匹のヒツジのために他の多くの羊を顧みないという話が聖書に出てくるが、ナンサもこれと同様に大事な羊をうっちゃらかす悪いやつ。しかし彼女の母親は叱らずに愛情でやわらかくつつむ。これは我が家ではなかなか出来ない真似だね。」

サザエ「モンゴル人の心の原郷にしばし親しむことができたナンサだったが、都会で学業を続けるためにふたたび大草原と羊と愛犬に別れを告げなければならない。古くて懐かしいモンゴルの世界の崩壊と新しい世界のはじまりをなまなましく描き出している映画でしたね」

死してなおシベリウスについて語り継ぐ吉田秀和『名曲のたのしみ』 蝶人


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