闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.363
サザエ「一九六七年製作の素晴らしい英国映画。トーマス・ハーディの原作を名匠シュレシンジャー監督が見事な映画に仕立てましたね。
カツオ「人ひとり見えない英国エセックスの荒野に放牧されている羊と牧羊犬。意地の悪い牧羊犬が羊たちを断崖絶壁においつめて海に追い落とすシーンには息を呑みました。
ワカメ「群衆から遠く離れその荒涼とした風景がしみじみと都会の喧騒に疲れた心に迫ってきます。でもそんな大自然に生きる男女の間にも凄まじい愛の放電が交錯するのよね。
マスオ「愛する人には愛されず、どうでもよい人からは熱愛される。ヒロインのジュリー・クリスティもヒーロー役のアラン・ベイツともどもこの世の不条理のドツボにはまってのたうちまわるんだけど、ジュリー選手はけっこうガードが甘いというか男を見る目がないというのか、押しの強い男にずるずる気押されてしまうね。
イクラ「初恋に一途にのぼせあがるところはとても可愛い。けっきょく自分で自分がよく分からないから、どうしようもない男に入れ上げて大事なものを見失ってしまうのね。パブーン」
フネ「でも最後の最後には私たちが最初に予感したとおり落ち着くべきところに落ち着くんだけど、この映画でいっとう可哀想なのはいよいよ物に出来ると舞い上がったところでトンビに油揚げをさらわれる中年の牧場主ピーター・フィンチ。死んだはずの恋敵テレンス・スタンプがあんなところで戻ってきたら逆上して拳銃で撃ってしまう気持ちも分からないではないわね。
十津川の流失家屋を眺めながら「観光に来て頂くだけで元気になれます」と語るガイド 蝶人
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