Tuesday, December 25, 2012

ビクトル・エリセ監督の「エル・スール」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.370

娘と父と母。フランコ独裁体制は去ったが、精神的には「ミツバチのささやき」の孤独な魂の世界をそのまま引きずっている映画です。

イレーネ・リオスという女優に心を奪われた父は愛する妻子を投げ捨ててとうとう自裁して果てるのだが、その心の奥底は観客には杳として知れないのであんまり同情はできない。

そうかい、そんなに惚れていたのならもっと若い時に一緒になってれば良かったじゃないか。こんなに可愛い娘がいるのに今頃になってどうして死んでしまうんだ。勝手にしろ、というような醒めた気持ちになってしまう。

ようやく、と言ってはなんだが、ようやく父親がいなくなった暗い屋敷から15歳の少女が南に向かって旅立つところで映画は突然終わるが、これも観客に失礼ではなかろうか。まだ話は半分しか終わっていないのに勝手に打ち切ってもらっては困るのである。

わたくし的には、さびしんぼうによる独りよがりな映画でした。


孤老死す皇帝ダリア植え終えて 蝶人

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