Monday, December 17, 2012

レオン・フライシャー&セルのピアノ協奏曲集を聴いて




音楽千夜一夜 289 

フライシャーは長年に亘る腕の故障が癒えて後はさらに一層素晴らしいピアノを聴かせるようになったが、1950年代後半から60年代にかけて録音されたこの5枚組のベートーヴェンとブラームスの協奏曲でも、初夏の午後の青空のような晴朗な演奏を次々に聴かせてくれる。

当時絶頂期にあったセルとクリーブランド管弦楽団による伴奏も、アーノンクールのような妙な小細工をきっぱりと拝した純粋無雑な演奏で清明にバックアップしており、他の組み合わせによるさまざまな演奏を知らなければ、もうこれ以上なにも要らないとさえ思わせてくれるのである。


十二月八日を吹くや猛き風 蝶人

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