Monday, December 24, 2012

ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.369

怪物フランケンシュタインは果たしていとけない少女を殺めたのだろうか? スペインの寒村にやってきた1931年製作の映画でそんな疑問を懐いた少女アナの心の旅路を辿る映画である。

みつばちの栽培と研究に朝まで没頭する高齢の父親、どこかの誰かに向かって手紙を書き続ける若い妻。そして2人の間に生まれた幼い2人の娘が同じ館に暮らしているが、夫婦の間はバラバラ。毎晩隣同士のベッドで眠る姉のイザベルと妹のアナは仲良しではあるが所詮はあかの他人なのだ。

こういう家族のありようがフランコ独裁時代のスペインを象徴しているとまことしやかに説く連中もいるが、そもそも人間は孤独な存在なのだ。

アナは怪物フランケンシュタインと巡り合い、「信じることさえできれば誰とでもお友達になれるのよ」と呟くが、その純真な心が果たしてこのモンスターに通じるのであろうか?
大きな謎を残したまま映画は突然終わってしまう。

バーキンの頬柔らかきクリスマス 蝶人


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