Thursday, November 08, 2012

山本嘉次郎監督の「エノケンのちゃっきり金太」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.341

エノケンが扮する巾着切が幕末明治にかけて岡っ引きや誌史維新の志士なぞを相手に大活躍するはずのコメディだが、これくらい面白くない喜劇映画も珍しい。

この映画はなぜかミュージカル仕立てになっていて、エノケンはいろんな歌謡曲を歌うのだが、これがじつにつまらない曲でそれを真面目に歌うエノケンもさらにつまらない。彼のトレードマークはくしゃみをすることで、劇中なんどもクシュンクシュンとやるのだが、この昔ながらのお笑いの常套手段がわざとらしくつまらない。

山本は戦争映画などを取り扱うとそれなりに無難な演出をする人だが、お笑いにはまったく不向きで、そもそも喜劇のなんたるかが全然分かっていない人なのだろう。

せっかくエノケンを起用しながらこんな不調法な映画が出来てしまったのだが、エノケンその人も大した役者ではないのかも知れない。もっと他の作品をみてみないとたしかなことは分からないのだが。


権力を我がものにせんとつるみあう我利我利亡者に災いあれ 蝶人

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