闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.349
サザエ「先住民と新住民との争闘をあくまで後者の立場から描いている「明治元年現在」の西部劇。油の乗りきったジョン・ウェインを完璧にコントロールしているフォードの冷静な演出が光っています。物語をぐんぐん前に進めるようとする力がある種の麻薬的な快感を呼ぶのよね。」
マスオ「舞台は強烈な陽光がまぶしく降り注ぐモニュメント・バレーなんだけど、その反対に逆光と暗闇と陰の部分を強調した撮影が重層的な効果を上げている。」
イクラ「しかしいくら兄の家族を虐殺された復讐に一途に燃える男だとしても、ジョン・ウェイン演じる主人公のインディアンや混血児への偏見は、最後には少し是正されたように見えるものの非常に不愉快だわ。自分の姪なのに「もう白人ではない」と言って殺そうとするガンマンなんて人間じゃない。パブーン」
マスオ「確かに先住民も開拓者を襲撃して首を取ったり頭の皮をはいだり少女を捕虜にしたりするんだけれど、素晴らしい映画だけにその歴史的な背景を無視した単純な悪役と善玉の対比が気になりますな。」
波平「ウエインよりも注目したいのは名脇役ワード・ボンドが演じた牧師兼ガンマン。アメリカではもうこの時代から武装したキリスト教原理主義者が重要な役割を演じていたんだね。」
いたずらに愛国を呼号する莫れその君こそが国を滅ぼしている 蝶人
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