Monday, July 16, 2012

古澤憲吾監督の「ニッポン無責任時代」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.278



植木等が自称日本一の無責任男になって大活躍するといいう1962年製作のアホ馬鹿映画だが、根本的なアホ馬鹿映画ではなくてその背後に通底する暗さとその全体を覆う妙に背伸びした強勢感、圧迫感が最後まで気になる奇妙な映画だ。

学歴も金もコネもないリーマン1年生が、時代錯誤の能天気と度胸だけでのし上がって当時の時代閉塞の現状を変えようとぐあんばるお話だが、とどのつまりが北海道の水産関連の社長に就任し、後輩の結婚式が行われている今は亡き横浜プリンスホテルの高台でアホ馬鹿ソングを歌って万歳万歳おしまいという映画で、これではどこが無責任野郎なのかさっぱり分からない。

現実は高度成長経済が驀進している世の中なのだから、映画がそれをなぞるのではなくもう少し既成秩序と権力を打破して革命的脳天気資本主義社会をデッチ上げてくれるのかと期待していたのだが、これでは元の黙阿弥ではないだろうか。

「ハイそれまでヨ」というテーマ音楽がぴったりの空虚で虚妄な映画であるが、この明るい空しさこそが現在まで続く戦後ニッポン社会の本質であった。




なんとか教の教祖に成りあがりたる夢を見て教組も大変だと夢の中で思う 蝶人

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