Wednesday, July 04, 2012

スティーヴン・フリアーズ監督の「クイーン」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.270



ダイアナ妃の交通事故死への対応を誤ったために危機に陥った当代の英国エリザベス女王(ヘレン・ミレン)を、当時のブレア首相(マイケル・シーン)が献身的に救助するという感動?の物語。

 皇室には冷淡であってよいはずの労働党の党首が、英国首相に就任すると同時にイデオロギーを投げ捨てて?国民感情の動向に鈍い時代遅れの女王に同情的になるのが不思議で、この点ではブレア夫人のほうがよっぽど正常である。

 この映画を見る限りでは、チャールズ皇太子はかなり普通の神経の持ち主と思われるが、度し難いのはエリザベスの母親と夫エジンバラ公フィリップの保守頑迷さで、これに比べたらエリザベス2世はよっぽど庶民的とでもいえそうである。考えてみれば、そもそも彼らが大衆と遊離した雲の上の存座であったればこそ、民間から浮上してきたダイアナに人気が集中したのであろう。

しかしこの映画に見られるように英国の王室と国民の関係はつねに一定の批評性と緊張関係を保っている点がわが国とは一味もふた味も異なるようである。


フェイスブックにはキリギリスミクシィにはアリさんが棲んでいる 蝶人

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