Wednesday, July 18, 2012

ソウル・ディブ監督の「ある公爵夫人の生涯」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.280


レイ・ファインズ演じる公爵とキーラ・ナイトレイが演じる公爵夫人の問題コンビが何と言っても素晴らしい。むかしこういうオキャンな同級生がいたが今頃どうしているのやら。

それにしても17世紀後半の英国社会って酷いものだ。貴族と平民の階級差別がインドより陰湿とはかねてより聞いていたが、たかが一介の公爵に、誰かを首相に据えたり、妻を暴君のように産む機械とみなす権限があるとは知らなかった。極東のどこかの国と似ている。

元をただせば愛してもいない癖にそんな公爵の夫人になりたいと願った若く美しい女の浅墓さが、彼らの悲劇を生んだのだが、嫌がる夫人をレイプしたり、公然と妻妾同居の生活を続けて恬として恥じない超エリートの生き方には、いくら映像と音楽が綺麗な映画とはいえ生理的な不快感を覚える。

ましてそれがほぼ実話であると知ればなおさらのことだ。似ても焼いても喰えないこの夫婦が、ラストで訳の分からない和解に至るのもあまりにも唐突で納得できなかった。

しかしこの映画の思いがけない贈り物はあの「愛の嵐」の名花シャーロット・ランプリングの登場。さすがに乳母桜となってしまったが健在と知ってうれしかった。


生まれつき脳に傷があったからこうなった自閉症は病気ではない 蝶人

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