Friday, July 20, 2012

東京新宿文化学園服飾博物館で「アフリカの染織」展を見て




ふぁっちょん幻論71茫洋物見遊山記89 


ここのところ、アフリカの政治経済文化活動はいちじるしく停滞低迷を続けていますが、欧米とアジアの繁栄が終息する半世紀後にこの現生人類を生んだ母なる大陸の存在がふたたび輝かしい光彩を放つであろうことは、ゆくりなくもこの会場に拡げられた東西南北アフリカ諸国の染織の産物を眺めていればおのずから確信できることです。

イスラムと西欧の感性が見事に調和したモロッコ、チュニジアの衣装やガーナ、ナイジェリア、マダガスカル、カメルーン、コトトジボワールの巻衣、上衣、肩掛け、腰巻衣などの染織の色、柄、デザインの基調はわたしたちが観念的に想像しがちな原色のド派手なテーストのものではなく、じつに繊細で知性的でエレガントな産物揃いで、とりわけナイジェリアのブブと称せられる呪術的なデザインのコートはまるで江戸時代の風呂敷のように東洋的で洒脱な感覚で統一されておりつよく印象に残りました。

考えてみればこの大陸に生まれ育った人類の遺伝子が世界各地に散らばっていったのですから欧米、ユーラシア等のすべての人種に偏在する多種多様な遺伝的要素は、現代のアフリカ人のDNAに遍在しているのでしょう。百聞は一見に如かずを地でいくような展覧会です。


*なお同展は来る9月21日まで開催中。ただし日曜祭日は休館です。


万物是資生阿弗利加而一以全阿弗利加 蝶人

遍在する一なるものより流れ出たりいちじるしく偏在すると見ゆるもの 蝶人

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