闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.266
何度見ても素晴らしいのは広大な砂漠の美しさで、モーリス・ジャールのテーマ音楽に乗ってくり広げられるこの雄大な自然の景観を眺めているだけでもう十分映画の醍醐味を堪能した思いになってしまう。
ロレンスがラクダを乗りこなす場面、部族の白い衣装を纏って踊る場面、アラブの遊牧民を率いて要衝アカバに突撃する場面、部下を命懸けで救出する感動的な場面、その部下をやむを得ず射殺する場面、不覚にもトルコ軍の捕虜となって凌辱される場面、人を虐殺しながら楽しかったと告白する場面などなど忘れ難いシーンは数多いが、もっとも見事なのは効成り帰国して万骨枯れ果てた現代の英雄が映画の冒頭であっけなくオートバイで事故死する場面であろう。
大英帝国の一軍人でありながら彼の脳内で理想化された「アラブの大義」のために獅子奮迅の活躍を続けたロレンスは、ある意味では個人として可能な極限の領域を踏破した大冒険家であり革命家であったといえようが、その後の歴史の推移を見るならば、しょせんは大国の利害と政治的思惑に呑みこまれていった哀れなドンキホーテという他は無い。
1ドル79円1ユーロ99円の日本に生きる幸せと不幸せ 蝶人
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