Wednesday, June 27, 2012

黒沢清監督の「トウキョウソナタ」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.265


市川中車になった香川照之とキョンキョンがリストラサレタリーマンとその満たされぬ妻を力演している。

 夫が突然会社をファイアされたがそれを妻に隠してハローワークに日参するが、プライドが高くなかなか仕事にありつけない。そのうち慈善団体の給食をありがたく頂戴するあたりはなかなかみせる。

しかし長男がなぜか米軍に志願したり、キョンキョンが強盗に誘拐されて海岸で水浸しになったり、夫が自動車事故で死んだと思ったのになぜか生き返ったりするご都合主義のシナリオはまことに観念的で、それを現場におとそうとしたときに空虚な映像となって空中分解していることにこの監督は気付いていないようだ。

家族崩壊しかかっていた一家の絆がなんとか結び直され、ラストで次男が弾くドビュッシーの「月の光」が美しい。


君の鳥肌は軽々しく立ち過ぎる 蝶人

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