♪音楽千夜一夜 第260回
2011年のザルツブルク音楽祭における公演をライヴ収録した映像です。
演出のクリストフ・ロイという奴が天下一品の大馬鹿者で、ホフマンスタールの原作を現代にもってくるのはまあ仕方がない、(けっして良いとは言わない)が、その舞台をこの公演のライヴ録音スタジオに設定するという(演出家本人だけが得意になって大喜びしている)糞アイデアのお陰で、聴衆はもちろんオケも指揮者も手ひどいダメージを喰らっています。
ここで出演者を除外したのは、可もなく不可もない彼らの全員がつねにこの作品のオリジナルスコアを携行していて事あるごとにアンチョコを覗き見できるという利点!?があったからで、本来丸暗記すべきあの長いオペラのセリフや♪をずいぶん省エネできたのではないかと愚考するからです。
リヒアルト・シュトラウスを得意とするドイツ期待の俊英クリスチアン・ティーレマンの指揮はこの音楽の本質を精妙にとらえ、名門オケを完璧にドライヴしながら緩急自在な歌の調べを繰りだしますが、ともかくこのちょいと出ました演出野郎に完全に足を引っ張られ、画面は見ないで音楽だけ聴いていたほうがよっぽどマシというザルツブルク音楽祭史上最悪の公演でした。
その日金星は一匹の黒い天道虫になって向日葵の花の周りをゆっくり歩いていきました 蝶人
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