♪音楽千夜一夜 第267回
ロシア5人組のお師匠さん役を務めたグリンカの記念碑的な純ロシア産歌劇で、どこかウエバーの「魔弾の射手」に似た気負いと初々しさが感じられる。
純ロシアというてもとりわけワーグナーの影響を受けていて、あの有名な序曲の旋律は2幕でも3幕でもライトモチーフのように繰り返し変奏され、終幕のロンドでも高らかに奏されている。
この序曲を得意中の得意にしたのはかのムラヴィンスキーだった。ウラディーミル・ユロフスキの指揮はその天才の孤高の鋭さをみじんも持ち合わせず、ただ音符を音に置き換えていくだけの凡庸なものだが、演出のドミートリ・チェルニャコフがその貧弱さを多少は補っているといえよう。
私はこの大曲を蘭フィリップスに入れたゲルギエフのCDを持っているが、その出来栄えも後年の彼の成長を予測するようなレベルのものではない。オペラに録音のないムラヴィンスキーこそこの歴史的作品にうってつけのマエストロだったのである。
プーチン独裁体制に突入したロシアでは最近この愛国的なオペラの人気がうなぎ登りだというが、それが伝統的な領土拡張主義がまたぞろ跋扈して、アメリカ、中国、インド、日本などと再び民族の角を突き合わせる予兆でないことを祈るのみだ。
配役 スヴェトザール(キエフ大公)ウラディーミル・オグノヴェンコ、リュドミーラ(大公の娘)、アリビナ・シャギムラトワ、ルスラン(キエフの勇士)、ミハイル・ペトレンコ、ラトミール(ハザールの王子)ユーリ・ミネンコファルラーフ(北方の勇士)アルマス・シュヴィルパゴリスラーヴァ(ラトミールの女奴隷)アレクサンドリーナ・ペンダチャンスカフィン(よい魔法使い)バヤン(吟遊詩人)チャールズ・ワークマンナイーナ(魔女)エレーナ・ザレンバ頭アレクサンドル・ポルコフニコフ
<合唱>ボリショイ劇場合唱団<管弦楽>ボリショイ劇場管弦楽団<指揮>ウラディーミル・ユロフスキ<演出>ドミートリ・チェルニャコフ
<合唱>ボリショイ劇場合唱団<管弦楽>ボリショイ劇場管弦楽団<指揮>ウラディーミル・ユロフスキ<演出>ドミートリ・チェルニャコフ
玄関になでしこが咲いているのが我が家です。 蝶人
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