「人生の歩き方」
あなたと私のアホリズム その12
本さへあればテレビは要らない。とりわけ民放などなくてもいっこうに構わないと思っている私です。
時々見るのはNHKのニュースと映画とドキュメンタリーくらい。
それでも本当にいいなと思える番組はあまりないのですが、最近始まった「人生の歩き方」というトーク番組はなかなかよいです。
第1回は漫画家・歌手の池田理代子さんを黒田アナが、昨夜から始まった第2回は映画監督新藤兼人さんを小野アナがインタビューしています。
ときおり回顧的な記録映像がインサートされますが基本的には主人公のこれまでの人生の歩みをじっくりと聞く番組です。
池田さんという漫画家についてはあのベルバラの作者というくらいしか知らなかった私ですが、彼女の自由で情熱的な生き方をご本人の口からとくとうかがい、静かな感銘を受けました。
特に中年になってから志したソプラノ歌手の恩師である東さんの壮絶な死に方を語ったくだりは、涙なしには聞けませんでした。
また昨夜の新藤監督が亡き母の思い出をこれまた涙ながらに語ったときには、寅さん大好きの小野アナも一緒に泣いておりましたね。
泣くからいい番組と言っているのではありませんよ。
その人の真実に迫り、その人が人生の真実を真面目に語るから、いまどき珍しくいい番組だといっているのです。
ここでは主人公が自分の人生をどこまで開示するか、は、アナウンサーの知性と勇気にかかっているので、そういう意味でも真剣勝負の番組だと思います。
世の中のテレビ番組の大半が、異常なことを異常に表現しようと狂奔する中で、「人生の歩き方」は、普通のことを普通に表現しようと試みている。
それがこの番組の価値を高めているようです。
(毎週水曜日午後10時25分から50分まで)
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