Sunday, March 04, 2007

鎌響ファミリーコンサートを聴く

♪音楽千夜一夜 第14回

昨日鎌倉芸術館で開催されたこのコンサートは、1年間のイタリア留学から帰国した古谷誠一が指揮して、ロッシーニの「アルジェのイタリア女」序曲を皮切りに、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」から5曲の抜粋、休憩を挟んでヨハン・シュトラウス2世の「ヴェネツイアの1夜」序曲、テノールの水船桂太郎を迎えてリゴレットの「女心の歌」、「誰も寝てはならぬ」「帰れソレントへ」など、最後にチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」という分かったような訳が分らないプログラムで開催された。

いちばん良かったのは冒頭のロッシーニ。まるでヴィクトリオ・グイを思わせる名演に、これが日本のオケ、日本人の指揮者かと耳を疑うほどの素晴らしい出来栄えであった。

イタリアには小さな町のも必ず歌劇場とそのオーケストラがあるが、まるでそんなローカルオケのように個性豊かで、しかもノリのよい演奏を楽しむことができた。
この指揮者はイタリア物のオペラのこつを体得しているようだ。

しかしながらプログラムが進むにつれて彼の指揮は精彩と切れ味を欠き、最後のチャイコフスキーなどは選曲の悪さも手伝ってあまり褒めた仕上がりではなかった。

コンサートの多くが、「はじめは処女のごとく、終わりは脱兎の如し」という終わり方をするのに、これはまたとても珍しいパターンであった。

しかし拾い物はテノールの水船。そのどこまでも透明で、明るく、伸びやかな声は素晴らしい。これでもう一匙の個性がスパイスされたら国内有数のテノールに成長するのではあるまいか。

大半の歌手と違って音程がほとんど狂わない点も素晴らしい。
何度でも繰り返すが、音程が狂っても許せる歌手は美空ひばりとマリア・カラスしかいない。しかもひばりはカラスと違って、「わざと音程をはずす」から超凄い。空前絶でげす。

3大テノールなんて威張っていても、音程については、ディ・ステファノほどではないが、パバロッテイもカレーラスも若いときから結構酷かった。

残る一人のドミンゴが推挙して国際舞台に押し出したとかいうソプラノの森麻季ちゃんも、容姿はともかく(おしゃれなドレスの谷間に乳間を強調)音程のみならず歌そのものが良くない。

いったい彼女のどこを聴いて、どこのどいつが「日本が生んだ国際的歌手」などとめちゃくちゃなレッテルを貼っているのだろう? 

もしかしてオペラ音痴の小澤大先生? まさか?

話が鎌響からどんどん離れてしまうが、最近のクラシック業界は完全に狂っている。

ともかく技巧や音楽性は二の次三の次で、「ルックス第1」いな「写真うつり第1」の、まるでタレントかモデルまがいの若い女性の売り出しに血道をあげている。

三流音楽家でも美人ならOK、一流でも不美人ならCDデビューできない。最悪の事態です。

という?ことで、今回もいろいろ楽しめたファミリーコンサートだった。

しかし冒頭でどうしてあの美しい鎌倉市歌の演奏を行わなかったのか? またどうして相変わらずぎゃあぎゃあと泣き喚く乳幼児の入場を許しているのか? まったく不可解である。

そもそも乳幼児というのは、人間ではなく、サルやネコやイノシシと同じ範疇の動物である。規律と自制が不可能で自然に生きている天然動物である。(おお、人生でもっとも自由で美しい時代よ!) 

そんな時空に楽しく生きてる動物を無理矢理何匹も引っ張ってきて、コンサート会場に放し飼いにし、人間だけに鑑賞可能な精妙な音楽を強制的に聞かせる必要があるのだろうか?

あるとすればわが子はモーツアルトだと勝手に錯覚している親馬鹿ちゃんりん茹で小豆のエゴだけでしょう。

どうして鎌響が、動物が人類に変成する小学生以上の入場に限定しないのか、ま、そのお、ひじょーに理解に苦しむものであるわいな。

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