照る日曇る日第461回
レスター・ヤング、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ベン・ウエブスター、チャールズ・ミンガス、チェト・ベイカー、アート・ペパー、そしてデューク・エリントンにイタコのように成り変わって著者が勝手に空想してでっちあげた8つのショート・ショート・ストーリーである。
一読するにその出来栄えはいまいちであり、どの物語も薬と妄想と狂気と精神錯乱に満ち溢れている点でまったく同質のあがりように思われ、読んでいてかなり退屈だが、門外漢の私がそんな悪口を言っても、ジャズ気狂いの著者は意に介しないだろう。
こういう史伝というか伝記的物語は、目を晒しながらミュジシャンの音が聞こえてくるようでなければ失敗作と決めつけられても仕方あるまい。しかし本編はともかく、ジャズの歴史と本質について見事に要約したあとがきは短いが読み応えがあった。
村上春樹による翻訳は小説と違ってこなれておらず、読んでギクシャクする箇所がある。彼は「これは世にあまたあるジャズ関係本とはひとあじ違う「想像的批評」だ」などと高く評価しているようだが、こんなイタコ本を翻訳する暇があるなら、もっと本職の小説をじゃんじゃん書いて早くノーベル賞を取っとくれ。
駄句ムク抱く愚句冗句ジョーズ 蝶人
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