Sunday, October 02, 2011

ムルナウの「タルチュフ」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.150

ドイツ映画創世記の巨匠ムルナウが1925年に製作した無声映画で、モリエールの原作に触発されて撮った愛はぺテン師に勝つ、という教訓物語。

悪賢い家政婦に財産を巻きあげられ、あわや毒殺されようとしたボケ老人の危機を、彼の孫が救うという話だが、その救助方法が面白い。移動映画上映技師に扮し、家政婦をだまして祖父の家に乗り込み、2人に「タルチュフ」の映画を見せるのである。

偽の宗教家タルチュフにすっかり騙されて言いなりになった馬鹿な夫を、美しい妻と聡明な召使が勇気と知恵を振るって正気に戻し、友人の顔をして隣に座っていたペテン師を追いだす、という映画内映画を見せられた老人は、ようやく自分の隣に座っている家政婦が「女タルチュフ」であることに気づき、孫と一緒に追い出してめでたしめでたしとなる。

シナリオとしては理屈っぽいが、表題役のエーミール・ヤニングや、愛する夫のために必死で彼を誘惑する美貌でお色気たっぷりのスリル・ダーゴヴァーの歌舞伎的な演技が楽しい。

こらそんな所で車を停めて昼寝するな白洋舎の営業マン 蝶人

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