Tuesday, October 04, 2011

マイケル・ウインターボトムの「日蔭のふたり」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.151

トーマス・ハーディの「日蔭者ジュード」をマイケル・ウインターボトムが映画化した1996年製作のイギリス映画である。いかにも朴訥なイングランドの農家や荒野が出てくるが、そこで人々は過酷な生活を強いられている。

農家の倅でありながら大学に入ってエリートたらんと志した貧しい若者ジュードだが、その人世は時折は薄日が差した日もあれど、雨と曇天と泥濘の暗い日々が続いた。

初婚の女に逃げられあこがれの美女とついに結ばれたのは良かったが、石工の単純労働の実入りは僅かで、ようやく築いた家庭の幸福も幼い子供3人を喪っては生きる希望も勇気もなえてしまうだろう。「食べるためには人数が多すぎるので」という悲惨な遺書を残して、ジュードの先妻の息子が後妻の2人の娘を殺して首つり自殺してしまうのである。

この悲劇を神の罰と感じた妻は宗教に逃げ込むが、ジュードはあくまでも愛を信じ、2人で再起しようと呼びかける。

ラストの「君がどこにいようとも僕らの夫婦の絆は不滅だ!」という健気なジュードの叫びに間接的に答えるかのようにしてビートルズは「ヘイ・ジュード」という応援歌を作った!?が、この映画も悲惨な階級格差と苦闘するルンペン・プロレタリアートや差別に苦しむユダヤ人への遠いエールになっているようだ。

ヘイ・ジュード! 人生から逃げるな、宿命を恐れるな 蝶人

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