闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.157
シリーズ最終作はマフィア稼業を揚棄して政財界のみならずバチカン銀行、枢機卿、法王にまで渡りをつけたアルパチーノ・ゴッドファーザーが、一将成って万骨枯れるさまを彼の息子が主演する「カバレリア・ルスティカーナ」が初日の幕を開くシチリアのオペラハウスを舞台に、このオペラの進行とともに劇的に描きつくします。
シチリアを舞台にしたこの愛憎と殺戮の歌劇は、この映画の世界と蝮のように絡み合って複雑な陰影と感銘をもたらすのです。
またこのオーケストラの指揮を担当しているのは恐らくコッポラの父カーマインであり、彼の娘ソフィアが一族の華であり希望の星である愛娘を演じているのですが、この3代続くコッポラ・ファミリーがコリオーネ・ファミリーの栄光と悲惨の物語を演出しているのも、じつに興味深いものがあります。
敵のみならず兄を殺し、妻に逃げられ、病に侵されたゴッドファーザーは、すべてを次期頭領アンディ・ガルシアの若きと差配に委ねて次々に宿敵を暗殺していくのですが、その代償に哀れ最愛の娘を喪ってしまいます。
金も権力もついに親しき者への愛に値しない、という恐ろしく陳腐な、しかし不滅の真実の前にくずおれた主人公の耳に、またしてもあの哀愁のシチリアーノの旋律が諸行無常と鳴り響くのでありました。
お父さん「風のガーデン」に行ってきましたと無事長男帰宅す 蝶人
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