Friday, October 21, 2011

テレンス・ヤング監督の「うたかたの恋」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.160

1889年にマイヤーリングで男爵令嬢マリーと謎の死を遂げたオーストリア皇太子ルドルフの不幸な生涯と恋愛を扱った1968年仏英合作の映画です。

母エリザベート(あな懐かしやのエヴァ・ガードナー!)の影響を受けた自由主義者であったルドルフ(胸毛黒々のオマー・シャリフ)は、令嬢マリー(純情可憐な時代のカトリーヌ・ドヌーヴ)に一目ぼれ。ベルギー人の妻を離縁して一緒になろうとするが、ローマ法王も保守頑迷な父フランツ・ヨセフ皇帝も頑として許さない。

父親の専制に頭にきていたルドルフは、お定まりの酒歌女にうつつをぬかしていたが、とうとういわゆるひとりの運命の女に出会い、当時彼が当面していた政治的青春的懊悩をば一挙に情死で決着をつけたという聞けば涙の物語。しかしいくら生涯ただ一度の大恋愛だったにせよなにも2人とも死んでしまわなくてもよろしいのではないか。拳銃2発で面倒くさい人生にはおさらばサラバ、という安易な解決法にはどうも納得できませんでした。

案の定これは心中ではなく父ヨセフ皇帝による他殺ではないかという説もあるそうですが、どうにも後味の悪い奇妙な映画です。監督は「007シリーズ」の初代監督であり世界最悪の映画「インチョン」も手掛けたテレンス・ヤング選手。音楽も安っぽいフランシス・レイ。とりえはドヌーヴの60年代の最良の姿がとどめられていることくらいでしょうか。

ビンボーな日雇い労務者からむしりとる鎌倉税務署のピンポンパン 蝶人

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