♪音楽千夜一夜第59回
08年1月のミラノ・スカラ座ライブでドニゼッテイ「マリア・ストゥアルダ」を視聴する
「マリア・ストゥアルダ」はて何じゃらほい、といぶかしく思う向きもあるだろうが、なんのことはない、これはスコットランドの女王、「マリー・スチュアート」のイタリア語読みである。
スコットランド併合を企む9歳年上の従姉イングランドの女王エリザベス一世と政治的に対立したばかりか、レスター伯爵をめぐって激しい恋のさや当てを演じる。そしてマリーが、宿敵エリザベスによってとらわれ、英国に18年間幽閉された挙句にとうとう断頭台で斬首刑に処せられる悲劇は、かのシュテファン・ツヴァイクの史伝「メアリー・スチュアート」などでひろく知られている。
その有名な原作を音化したドニゼッテイは、序曲から終曲のカタストロフまで朗々たる歌謡の極致を体感させ、イタリアオペラの楽しさを心ゆくまで味あわせてくれる。
エリザベス(エリザベッタ)役のアントナッチはまずまずだが、表題役を歌うマリエラ・デヴィーナのハイCがすごい。演奏はアントニーノ・フォグリアーニ指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団で文句なし。演出・美術・衣装の3役兼ねたピエール・ルイージ・ピッツイは最後の処刑場で史実通りに真紅のドレスをマリア・ストゥアルダに纏わせ、首切り役人の一撃で鮮やかに全曲を切断してみせた。
隣席にどさり腰かけ携帯す若き身空でニコチンにおう 茫洋
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