照る日曇る日第241回
五〇歳で亡くなった米国の作家の遺作詩集である。
ガンで五〇歳の男が死ななければならない、ということはどういうことか、次の詩を読むと分かる。
「若い娘」
思わずたじろいだ出来事をみんな忘れてしまおう。
室内楽にかかわることもすっかり忘れてしまおう。
日曜日の午後の美術館だとか、そういうあれこれ。
古き時代の巨匠たち。そういうものすべてを。
若い娘のことも忘れよう。なんとかしっかり忘れてしまおう。
若い娘たち。そういうあれこれすべて。 ―The Young Girls
そして、カーヴァーの最後の詩集のいちばん最後におかれたのは、次の数行だった。
「おしまいの断片」
And did you get what
You wanted from this life,even so?
I did.
And what did you want?
To call myself beloved,to feel myself
beloved on the earth. ―LATE FRAGMENT
生涯の最後の最期である 人よ何を想うか 茫洋
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