闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.310
1956年にカルロ・ポンティが製作したイタリア映画の名作である。
頑固一徹の鉄道員とその妻、いずれも問題を抱える長男と長女。そんな家族を終始つなぎとめているのは随分年下の末子で、実際この映画の主人公は、天使のような少年サンドロのあどけない微笑である。
社会主義もネオレアリズモもどうでもいいけれど、私はこのエドアルド・ネヴォラの汚れなき笑顔を見るたびに、あの有名な堀越高校の「太陽のごとく生きよう」という校訓を思い出すのである。
ルイザ・デラ・ノーチェの慈母のごとき温顔も素敵だが、何度見てもため息が出るのは長女役を演じるシルヴァ・コシナの美貌で、私がこの映画を見るのはおもにそのためなのである。
カルロ・ルスティッケリの主題歌も素晴らしく、ことにサウンドトラック入りのエンデイングは、人世の哀歓をにじませる傑作中の傑作だと思う。
荻と萩の区別がつかぬ男かな 蝶人
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