Friday, April 27, 2012

川島雄三監督の「幕末太陽傳」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.233

若くして病に斃れた奇才の代表作である。維新も間近な品川の遊郭を舞台に、遊女や町人や勤王の武士たちが終始駆けずり回る。

余命いくばくもない商人に扮したフランキー堺が、これら多士済々の登場人物を手玉に取ってそれぞれ「いいように」してやるのが本作のみどころだが、死んでたまるかとばかりに宿をあとにするフランキーの姿に夭折した川島の絶望と希望がこだましている。そしてそのBGMには滝廉太郎の遺作「憾」のピアノがうつろに鳴り響いている。ラストを冒頭と同様に現代の品川で締めなかったのが、かえすがえすも口惜しい。


いつも映画に出ると妙なことになる石原裕次郎が、これまた若死にする高杉晋作を演じてあっけらかんと嵌っているのも見ものだが、遊女のライバル左幸子(美しい!)と南田洋子の本気の嘩がすさまじい。

てなことを書き飛ばしてはみたが、川島は1963年に死ぬまでに18本もの映画を撮っているから、以て瞑すべしか。享年45


櫻散る無神論者の庵哉 蝶人

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