闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.222
大卒の満鉄エリート社員でありながら2等兵として営倉に放り込まれた梶は初年兵としての過酷な任務に耐えながら帝国陸軍のおそるべき非人間性と直面していく。この極限の世界では異端の思想者と肉体的精神的な弱者はますます差別され過酷な取り扱いを蒙るのである。
ちなみに梶役の仲代達也は監督小林正樹の命で大船撮影所で1ヶ月間の初年兵教育を受けたそうだ。軍隊経験のあるリアリストの面目が、ここでも遺憾なく発揮されている。
しかしこの映画では、千里の道を遠しとせず兵営に駆けつけた美千子が梶と物置小屋で一夜を共にするが、当時いくらなんでもこういうことをする女性はいなかっただろうし、上層部がこういう温情で2人に配慮するようなこともなかっただろう。原作と映画の虚構に違いない。
梶と同期の小原2等兵(田中邦衛)は行軍に遅れ便所で自殺するが、もし私が当時この年齢で兵隊に取られたとしたら、きっと小原と同じ状態に追い込まれていただろう。
梶と思想を同じくする新城1等兵(佐藤慶)は隙をついて国境の彼方に脱走を図る。ソ連への過大な幻想を描く新城と疑問視する梶の違いがここで表面に出たが、新城の逃避行を成功させるために、梶は新兵を暴行する吉田上等兵の追跡を阻止し結果的に彼を死に追いやる。
負傷して入院した梶は看護婦(岩崎加根子)とほのかな慕情を交わし合うのだが、やがて運命は彼をもっと過酷な死線へと押し出していくのである。
稼働基準の前に原発容認否認を国民に問えどぜう政権 蝶人
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