Wednesday, April 04, 2012

小林正樹監督の「人間の條件・第2部激怒篇」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.221


部下の陰謀に因る工員と陳(石浜朗)の鉄条網感電死事件に続いて、7人の脱走者をめぐる処罰事件が引き起こされ、ヒューマニスト梶は最大の窮地に立たされる。

梶がいくら良心的な個人として振舞おうとしても、彼が支配者の一員である限り、己を滅しない限りはその支配に構造的に加担せざるを得ない関係性が冷徹にそびえたっている。

次々に憲兵軍曹渡合(安部徹)の軍刀で斬首されてゆく無実の工人を目の前にして、梶はついに立ち上がる。その決死の反抗に呼応した捕虜たちの身を呈した抗議によって、処刑は3人目の高(南原伸二)を終えたところで中止になったが、梶は憲兵たちの惨たらしい拷問を受け、ようやく帰宅を許されたものの、所長は当初の約束を反故にして召集令状をつきつけたのだった。

己の保身のために権力の走狗となる所長の老獪さと厭らしさを、三島雅夫が好演している。

明日は各地で落雷があるでせうと嬉しそうな顔で予報するなお天気男 蝶人

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