ある晴れた日に 第107回
キーンさん、日本人になってくれてありがとう!
ダルが投げイチローが打つ愉楽哉
梅開きにわかに蛙声聴こゆれば一首詠まずにおらりょうか
桜万朶関東平野駆け巡る
われ行けば万朶の桜関東平野
わが庵の主となりぬ島桜
桜咲く無神論者の庵哉
櫻見るなんの己が櫻哉
櫻とう櫻咲かせて歌を詠む大和心に変はりあるなし
今宵かぎりの夢撒き散らす櫻かな
浅き夢残して今朝は櫻散る
豪奢なる幻残し櫻散る
気が付けば花散里となりにけり
惜しみなく花降る道を歩みけり
論理学専門の学生部長神沢惣一郎氏大衆団交で論理が破綻
反論できない主張はなく論破されて宗旨変えする純朴な人間もいない
俳諧を第二芸術などと侮蔑した男ももう死んだ
罪咎の欠片も無しに虫けらのごとく息絶ゆ神なき人の世
われのことを三白眼の狂四郎と言いし男をまだ憎みおり
朝な夕な母と息子と余に尽くす野菊の如く可憐なる妻
門毎に春を告げゆく紋白蝶
解脱せよ解脱せよと説きながら儚くなり給えり小泉画伯
小泉画伯より頂戴したる成城風月堂のカステラを喰い尽くしたり
セザンヌは雷電に撃たれて斃れたり「庭師ヴァリエ」に白塗らんとして
100点のセザンヌより1点のアンリ・ルソー
フェルメールの良さが分からぬ男哉
視聴率を捨て最高視聴質を目指せ皆様のNHK
フクシマの惨禍再来を待つと言うのか稼働を急ぐアホ馬鹿民主党
稼働基準の前に原発容認を国民に問え野田政権
明日は各地で落雷があるでせうと嬉しそうな顔で予報するなお天気男
アホ馬鹿と怒鳴りアホ馬鹿と罵るたびにアホ馬鹿野郎と成り果ててゆくアホ馬鹿野郎
いいねいいねと内輪褒めしているうちに沈没していく私たち
年毎に栗の匂い失いゆくかわがザアメン
粥の如き精液が出る男哉
やよ古井由吉。君は舌なめずりしながら女をペンで犯す文学者也
その男尾籠なれどもぐぇいじゅつ家
あまでうすかく語りき「万物退化す」
帰玄
君はもう見知らぬ土地へは行かないだろう
既に幾つもの風景を見てきたのだから
君は愛犬の傍らに座して思い出すだろう
あれらの土地に吹いていた風の匂いと光のいろを
君はもう本を読まないだろう
いくら朱線を引いても人の世は分からないのだから
君は海に突き出した半島の先端に立って
万巻の書物を水平線に向かって投じるだろう
君はもう音楽を聴かないだろう
どの和音も壊れたオルゴオルのように響くのだから
むしろ君は宙天高く舞い上がって
喉涸れるまで雲雀のように歌うだろう
君はもう新たな出会いを求めないだろう
胸痛む無言の別れを伝えてきたのだから
君は埃に塗れた十年連用日記を繰りながら
在りし日のあの人の面影を偲ぶだろう
君はもう夢を見ないだろう
目覚めているときにもそれを見ているのだから
君は春風に舞うギフチョウを追って
今日こそ懐かしいあの場所へ帰るのだ
星を歌う菫を愛でるわれはめでたき平成浪漫主義者 蝶人
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