Tuesday, April 24, 2012

ジェームズ・キャメロン監督の「アビス」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.231


「タイタニック」で知られるこの監督は、ともかくやたら海と潜りが大好きだ。沈没したタイタニック号の周辺海域には何度も潜って撮影しているし、先日は単身「ディープシー・チャレンジャー」を駆って世界最深1万911メートルのマリアナ海溝チャレンジャー海淵に着地し、3Dカメラで撮影までしてのけたのである。

 従ってこの映画でも冷戦時代のアメリカの原子力潜水艦やら軍の特殊部隊員や石油採取会社のあらくれ男女が自在に乗り回す捜査艇、おしまいにはなぜか深海で活動するクラゲ状の宇宙人と大艦隊まで出現して、てんやわんやの大騒ぎとなるが、基本的には正統的な夫婦恋愛物語であり、大山鳴動してネズミ一匹というところか。

 内容は空疎でもともかく陸海空とあくまで巨大なスケールを描こうとするこの監督の精神構造は特異なものがあり、映画よりもそこに興味を引かれる。ヒロインのメアリー・エリザベス・マストラントニオが可愛らしい。


反論できない主張はなく論破されて宗旨変えする純朴な人間もいない 蝶人

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