Thursday, March 22, 2012

鎌倉高徳院裏の「故早乙女貢邸」を訪ねて

茫洋物見遊山記第82回&鎌倉ちょっと不思議な物語第261回

鎌倉文学館が主催する文学散歩に着いて行ったら、大佛様の裏手の閑静な住宅街に連れて行かれました。大佛を見下ろす鬱蒼としたこの裏山のどこかに昔小林秀雄が住んでいたのでしょう。

その細道をどんどん歩いていると、「会」と云う字の旧漢字を記した白い旗が掲げられていました。ずいぶん大きなお屋敷ですが、みんながその門の中にどんどん入って行くと「ようこそいらっしゃいました」と丁重に挨拶されて、この豪華な洋館の主は平成20年に亡くなられた早乙女貢という作家であると説明されました。

私は読んだこともないのですが、この人はなんでも会津藩ゆかりの歴史小説などを書いた有名人で、だから家の前に藩旗が翻っていたのでしょう。

関係者の方が故人の人柄と業績についてお話をされた後で、私たちは三三五五彼の書斎や居室や書庫や広大な庭園まで隅から隅まで拝見させていただきました。聞けばこの豪邸のほかにも都心に2つもマンションを所有されていたとか。作家と言えば貧乏人とばかり思い込んでいた私にとって、それはちょっとしたカルチャーショックでありました。

 ひととおり見学が終わってから、司会者の方が「なにか質問はありませんか」とおっしゃったので、私は「東京大空襲関係の御本が無かったようですが」と尋ねてみようかと思ったのですが、それも面倒臭くなってやめてしまいました。ところが、これが大正解。帰宅して調べてみたら、それは早乙女違いのあかの他人でした。沈黙は金、とはよく言ったものであります。


この次の大震災では大佛様は溺れてしまうでせうと皆が囁く 蝶人

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