Sunday, March 11, 2012

リナルド・アレッサンドリーニ指揮スカラ座の「オルフェオ」を視聴して

♪音楽千夜一夜 第249回

モンティヴェルディの「オルフェオ」は生まれたてのオペラということでアリアはただの1曲もなく、全篇にわたって詠唱が延々と続くのだが、これはまたなんと美しくも雄弁な神話語りであろうか。

リナルド・アレッサンドリーニによって率いられた古楽器オケ伴に乗って好ましい喉を響かせてくれる表題役のゲオルク・ニールも素晴らしいが、なにより見事なのは簡素にして精神的な深さを鮮やかに描出し尽くしたロバート・ウィルソンの演出。青い夜空と黒い木立を背景に繰り広げられる楽人オルフェオの地獄めぐりと妻探しの道行を、これ以上ない晴朗な美しさで表現してしまった。

これはかつて天才ポネルがチューリッヒで全盛時代のアーノンクールと達成した至高の世界に追い付き、凌駕さえするほどの出来栄えであり、近来まれな映像記録として推薦できる。2009年9月の収録で画質録音とも最高である。


お前なんかに頼まれたから黙祷しているんじゃないぞ鎌倉市役所 蝶人

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