闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.217
なんといっても主人公のキャラクター(オドレー・トトゥ)が素晴らしい。愛くるしい瞳と白い卵のような顔、そのすんなりした体つきと喋り方、そして不器用で傷つきやすいけれど繊細で人に親切な引きこもり型の少女に、観客はどんどん魅了されていく。
このような夢見るキュートなヒロインを造形した監督の手腕も近来まれにみるもので、その奇妙に歪んだ変態的なユーモア感覚は遠い遥かな亡霊となったヌーベルヴァーグの新感覚をちょっぴり偲ばせるところもないではない。
ヒロインを取り巻くポルノショップの男の子や八百屋の嫌味な親父にいじめられる小僧、アパルトマンの様々な住人たちもみなひと癖あって印象に残る。パリの証明写真撮影ボックスの秘密やモンマルトルの丘を舞台にしたミステリーも気が利いていて、最後は誕生したてのカップルの幸せを共に喜びたくなるような、そんなガールズ・ヴィルドゥングスロマンである。
門毎に春を告げゆく紋白蝶 蝶人
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