Wednesday, January 25, 2012

アンソニー・マン監督の「シマロン」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.191

珍しやグレン・フォードとマリア・シェルをフーチャーし一風変わった西部劇。1931年版を1960年にリメイクしたものである。

開発途上のアメリカ・オクラホマ州などでは「ランズ・ラン」という名の早い者勝ちの土地獲得競争が行われたそうな。一獲千金を夢見る全米の老若男女やアウトローや喰いつめ者が号令一発せいので荒野に飛び出していくのであるが、新婚早々のグレンとマリアもその一員。新聞社を作ってこの地に基盤を築いたが生来の冒険心を自制できないグレンは平穏な生活を求める妻子を顧みず各地を放浪していたが、ようやく帰省して知事に任命されることになる。

しかしそれが先住民の自立を妨げ開発のお先棒担ぎへの加担を意味すると知ったグレンは潔く名誉あるポストを投げ出したが、マリアは怒り狂って夫と絶縁。やがて11年の歳月が流れてマリアは新聞社を大成功に導いたが、その時グレンの最初で最後のラブレターと共に、英国女王からの訃報が届くのだった。

波乱万丈の冒険野郎の生涯と米国の開拓史をシンクロさせて描く壮大なスケールが見もの。とりわけシマロンの時代にさきがけた公民権運動が印象に残る。

病院に行けば病の人ばかり病ならずとも病みし心地す 蝶人

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