照る日曇る日 第423回 なるほどなあと思いつつスラスラ読めてあとにはなにも残らない1997年から2009年に行われたインンタビュー集だ。 ガス抜きのペリエを飲んだときのような晴朗さと爽快さはいかにもこの作家ならではの持ち味だが、きっと苦いオリや苦悩や後悔は本編前後左右にさらりと投げ捨てられたに違いない。 しかし例えば「短編は三日間で書かねばならぬ」とか、「長編小説を書こうとする者はエッセイを書いてはならない」とか「締め切りに追われて書いてはいけない」などというセリフは、さすが実作者ならではの正鵠を射ぬいた発言と思えた。 折々の真情が卒直に語られていて好感が持てる本だが、このようにきざでこっぱずかしいタイトルをつけて恬として顧みないところに、この作家の隠された盲点があるのだろう。されど真心が籠った「あとがき」には泣かされます。 人間はカッコつけたら終わりです 茫洋
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