Thursday, April 07, 2011
フルトヴェングラーの「ワーグナーリング全曲RAI盤」を聴いて
♪音楽千夜一夜 第186夜 1953年秋、ローマで当地のRAI交響楽団を指揮してアウディトリオ・デル・フォーロ・イタリーコで行われたコンサートのライヴ録音をEMI盤ではじめて耳にして感銘を受けた。 ワーグナーのリング全曲の演奏では定評あるショルティ&ウイーンフィルやクナパーツブッシュとバイロイト祝祭管をはじめ幾多の名盤が目白押しだが、私が好きなのはカール・ベームとバイロイトの名コンビによる1973年のライヴ録音で、聴けば聴くほどこの楽劇の偉大さに頭が垂れる名演奏である。 一方こちらは、例えば終曲の「神々の黄昏」では、ジークフリートがルートヴィヒ・ズートハウス、ブリュンヒルデが、マルタ・メードル、アルベリヒがアロイス・ペルネルシュトルファー、ハーゲンがヨーゼフ・グラインドル、グートルーネにセーナ・ユリナッチといった当時のベスト・オーダーが組まれており、名匠が長時間にわたって徹底的にリハーサルでしごきぬいた揚句にライヴで録音しただけに、その完成度は折り紙つきのものだが、いまひとつの白熱と光彩あらば、と無い物ねだりしたくなる瞬間も正直言って、ある。 しかしあんまり贅沢をいわずに、演奏会形式上演ならではのバランスの良いサウンドでも有名なこの演奏を、おなじ指揮者による同じイタリアのスカラ座のオケによる1950年のシュトルムウンドドランク風劇伴と聴き比べてみるのも一興であろう。個人的には音質は別にしてキルステン・フラグスタートがブリュンヒルデを歌っている後者に私の軍配は上がるのだが。 それにしてもなんという音楽をワーグナーは書いたことよ! イナックスの修理の人が掻き出す耕君が捨てし硬貨の数々 茫洋
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