Thursday, April 14, 2011

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮の「ブラームス選集」を聴く

♪音楽千夜一夜 第188夜

1960年代のブラームスの録音を集大成したEMIの超廉価盤CD5枚組です。

この洒脱なイタリアの指揮者は、1978年からロサンジェルスフィルの常任になって超スローテンポのベートーヴェンの交響曲やヴェルディの「ファルスタッフ」を世に送り、その晩年にはシカゴ、ベルリン、ウイーン、スカラ座の名門オケを振ってマーラーやドボルザーク、ブルックナーの第9交響曲を録音してから91歳で亡くなりました。

 世間ではこれら最晩年の演奏を高く評価しているようですが、だからというて初期や中期の音楽が駄目なわけでは毛頭なく、そのことはここに収められたブラームスの4つの交響曲やクラウディオ・アラウと入れた2つのピアノ協奏曲が持つ軽快なテンポと表情豊かなカンタービレを耳にすれば一聴瞭然でしょう。マエストロと英国のフィルハーモニア管弦楽団との相性の良さは、例えばモーツアルトの「フィガロの結婚」や「ドン・ジョバンニ」を聴いた人ならよくご存知のはずです。

 そうしてジュリーニの特徴である、あの高いインテリジェンスと胸底深く秘めたアレグロ・コンブリオ魂は、同じ北イタリア出身のクラウディオ・アバドに引き継がれているのではないでしょうか。



   気前よくCD買うのも国のため 茫洋

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