Monday, December 15, 2008

歳末クラシックCD談義 前篇

♪音楽千夜一夜第53回

今日も相変わらずクラシックを聴いています。
年々仕事が減り、世界同時不況が到来するずっと前から不景気なので、CDの購入は基本的に1枚1000円以下、中心価格は200~500円までと定め、暗い世相をせせら笑いながら東京のバスガイドの浜美枝さんのように、都電荒川線の車掌の倍賞千恵子さんのように♪明るく明るく歌いながら、乗り切って参りました。

さて先々月はパドゥラ・スコダのシューマンのピアノ独奏曲全集2500円也という廉価版を「ふんスコダか、グルダに比べてお前はなんて凡庸なんだ」、と軽蔑しながらも買ってきて13枚続けて聴いたら、ポリーニやアルゲリッチよりいい演奏だったのですっかり脱帽。

先月はジョージ・セル、クリーブランド響が51年から69年までフィリップスとデッカに入れた(ソニー以外の)全録音5枚組と、ピエール。モントゥーが56年から64年までに同じくその2つのレーベルに入れた7枚組の録音を聴いたが、これも素晴らしく珠玉の名盤とはこのような演奏をいうのだろうと思いました。ちなみにモントゥー老のロンドン響「ベト4第1楽章冒頭」と中島みゆきの「ファイト」が私の人生の応援歌です。

わずか1000円で4枚組という廉価版での思いがけない掘り出し物は、独クアドロマニアのプッチーニの「マノンレスコー」と、「蝶々夫人」のそれぞれ1930年スカラ座、49年メットの知らない指揮者の全曲演奏。録音がひどいので途中でやめようかと思いましたが我慢して聞いているうちにオペラ的感興がわき出てくる名演。後者では私の好きなエレノア・スチューバーが好演しています。

気をよくして同じレーベルの「ラ・ボエーム」と「トスカ」を買ってきたら、いずれも1938年の録音ですがベンジャミン・ジーリとカラスの黄金コンビがスカラ座とローマ歌劇場でちょうちょうはっしの白熱のクライマックス。オペラだけは昔の歌手と昔の演奏で聴くべきだとしみじみ思ったことでした。

そういうわけで、ただいま同じクアドロ盤のクナパーツブッシュの「パルシファル」(1951年バイロイト音楽祭ライブ)をかけていますが聖金曜日の音楽がすさまじい迫力。これはもしかするとフィリップスのステレオを超えた演奏ではないでしょうか。

1000円盤といえば、アルトゥスから出たアンドレクリュイタンス&パリ管の生前唯一無二の東京文化会館におけるベルリオーズの「幻想交響曲」のライブがあまりにも素晴らしかったので、1986年10月15日東京文化会館における神様チエリビダッケ指揮ミュンヘンフィルの「ブラームス4番」&「死と変容」の超絶的名演、同じく1991年11月2日サントリーホールにおけるクーベリック&チエコフィルの「我が祖国」を、フルトヴェングラーの51年7月29日バイロイトのオルフェオ盤「合唱付き」といっしょに買ってきました。

もったいないので、すぐには聴かないでいましばらく机の上であたためているところ。私だけのささやかな楽しみです。

♪吉田家でプーランク聴こえる小町かな 茫洋

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