Thursday, December 18, 2008

倉地克直著「徳川社会のゆらぎ」を読む

照る日曇る日第205回

小学館の「日本の歴史」シリーズはいずれも近来の力作ぞろいだが、とうとう11巻まできた。今号で徳川幕府が揺らいだら、まもなく明治維新がやってくるのだろう。

本書によれば、江戸時代には多くの穢多非人が存在した。

非人は穢多と違って平民身分に戻ることができたが穢多はできなかった。元和・寛永ごろに非人の組織化が行われ、江戸では非人頭、大坂では長吏が統率したが、その江戸の非人頭は穢多頭によって統率されていたので、穢多は非人よりも偉かった?ことになる。


彼らの組織には「乞食の法度」と称される独自の規律があった。4か所で集団生活していた江戸の非人小屋には、ボスの非人頭の下に非人手下(「てか」と呼ぶ。やくざ映画などのテカはここから来たのだろう)がおり、さらにそのまわりには野非人からくりこまれたばかりの非人小屋居候がいた。

その非人居候には、元浪人や僧侶、職人、芸能者やライ病者、障碍者、さまざまな犯罪者たちがいた。17世紀にはキリシタンが流入し、文化11年1814年には岡山乞食(当地の非人組織名)の中から禁教の日蓮宗不受不施派の信者が多数摘発されている。

このような縦型の身分制度は、ひとり穢多非人集団のみならず、政党、官僚、私企業、町内会、軍隊、教職、宗教団体、監獄からホームレス集団にまで時代を超えて散見される。


♪おやびんのためなら滅私奉公 お国も王も喜んで裏切りますぜ 茫洋

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