Friday, May 16, 2008

レーモンド・カーヴァー著「英雄を謳うまい」を読んで

照る日曇る日第125回

村上春樹氏が翻訳するレーモンド・カーヴァー作品は、いずれも面白く読ませてもらったが、その最終巻であるこの本は、初期の短編や詩、挫折した長編の断片や書評やエッセイやスピーチ原稿などのいわば壮大な寄せ集めで、であるがゆえの面白さももちろんあったけれど、やはりいささか物足りなかった。

格別の感想はないが、以下印象に残ったくだりだけをメモしておこう。

カーヴァーのみならずエリオットやウイリアムズやへミングウエイやイエーツの文学上の師であったエズラ・パウンドは、「叙述の根本的な正確さ、それこそが文章における唯一無二の道義である」と述べたそうだが、なんとなく分かるような気がする。

その正確さの水準器を作家が持ち合わせていれば、の話だが。

聖テレサという373年前に生きていた傑出した女性は、こう語ったそうだ。

「言葉とは行為を導くものです。言葉は魂に準備をさせ、用意を整えさせ、そしてそれを優しさへと動かすのです。(Words lead to deeds----they prepare the soul,make it ready,and move it to tenderness.)」



♪講義ではスーツを着てくださいねと言われし真意を忖度しているこの1ヶ月 茫洋

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