Sunday, December 30, 2007

さらば2007年 亡羊師走詩歌集

♪ある晴れた日に その18


満月やわれに二、三の憂いあり

土佐文旦優しき母の匂いなり

糞1個ひり出す午後の寒さかな

ベット・ミドラーのインタビュー アイアイアイと私が五月蝿い

イヴ・クラインの青切り裂くやF30

大空を2つに切り裂くF-4EJ

袈裟懸けに双子座より落つる流れ星

その縄跳びの輪にどうしても入っていけない自分がいる

沖縄スズメウリ繁茂す 沖縄独立せよ

グルダのヴェートーヴェンとモザールは良いがったく彼奴のジャズのどこがいいのだ

脳漿と精巣はどこかで繋がっているのであらうか

建長寺の若き僧侶の青頭

念仏は脱兎の如し若き僧

こもごもに短き詠歌となえつつ老婆が2人峠越えたり

一座建立一日一恕の幸せを君に

高窓の光のどけき冬の朝妻と並びて抜き手切りたり

当たりの悪き林檎買い来るごと障碍児生まれしかな

会者定離盛者必滅と鵺が鳴く

電車の中で彼女が生涯にわたって絶対見ないであろう部位をじっと見ている私

盲目の老人が独り住む家に今年もたわわに蜜柑つけたり

なにやらんこていな料亭ありしかど無残な更地になりにけるかも

秋晴れの丸一日を費やして描きし路線図を破り捨てたる息子

当たりの悪き林檎買い来るごと障碍児生まれしかな

百葉落ち死者に近しき夕べかな

戦友が放り投げたる赤ん坊をこう突き刺したんだとT氏語りき

あどけなき無言の挽歌うたいつつ小楢散るなり夕陽の丘に

窓際を流るる秋に呼びかけよ かのモルフォ蝶いずくにありやと

年毎に故人増えゆくアドレス帳

人生といふ棒を振ってしもうた男なり

朝な夕な新聞のページ薄くなりあと数日で年改まるか

来年も生きてしあればそれでよし

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