♪ある晴れた日に その18
満月やわれに二、三の憂いあり
土佐文旦優しき母の匂いなり
糞1個ひり出す午後の寒さかな
ベット・ミドラーのインタビュー アイアイアイと私が五月蝿い
イヴ・クラインの青切り裂くやF30
大空を2つに切り裂くF-4EJ
袈裟懸けに双子座より落つる流れ星
その縄跳びの輪にどうしても入っていけない自分がいる
沖縄スズメウリ繁茂す 沖縄独立せよ
グルダのヴェートーヴェンとモザールは良いがったく彼奴のジャズのどこがいいのだ
脳漿と精巣はどこかで繋がっているのであらうか
建長寺の若き僧侶の青頭
念仏は脱兎の如し若き僧
こもごもに短き詠歌となえつつ老婆が2人峠越えたり
一座建立一日一恕の幸せを君に
高窓の光のどけき冬の朝妻と並びて抜き手切りたり
当たりの悪き林檎買い来るごと障碍児生まれしかな
会者定離盛者必滅と鵺が鳴く
電車の中で彼女が生涯にわたって絶対見ないであろう部位をじっと見ている私
盲目の老人が独り住む家に今年もたわわに蜜柑つけたり
なにやらんこていな料亭ありしかど無残な更地になりにけるかも
秋晴れの丸一日を費やして描きし路線図を破り捨てたる息子
当たりの悪き林檎買い来るごと障碍児生まれしかな
百葉落ち死者に近しき夕べかな
戦友が放り投げたる赤ん坊をこう突き刺したんだとT氏語りき
あどけなき無言の挽歌うたいつつ小楢散るなり夕陽の丘に
窓際を流るる秋に呼びかけよ かのモルフォ蝶いずくにありやと
年毎に故人増えゆくアドレス帳
人生といふ棒を振ってしもうた男なり
朝な夕な新聞のページ薄くなりあと数日で年改まるか
来年も生きてしあればそれでよし
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