降っても照っても第12回
中野坂上の写大ギャラリーで大石芳野氏の「無告の民-カンボジアの証言」展を見る。
氏は80年から81年にかけて現地に入り、ポルポト派によって圧殺されたカンボジアの民衆の受難をモノクロームの静謐な画面に克明に定着した。
危険をものともせずに淡々と撮りあげた誠実なドキュメントである。
ポルポト派は73年から79年までおよそ300万人の無辜の民を拷問し、焼き尽くし、虐殺し尽くした。
そのためにカンボジアの医師、教師、インテリゲンチャはほとんど全滅したといわれている。
拷問で流された血潮、晒されたシャレコウベ、大量虐殺され穴に埋められたその現場…。
悲劇的な大惨事の後を尋ねて、カメラウーマンは万感を押し殺してワンカットずつシャッターを切る。
シャッターを押そうか、押すまいか、というためらいが見るものに伝わってくるようだ。
(6月3日まで、10時から8時まで。無料無休)
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