Sunday, May 13, 2007

鶯の歌

♪ある晴れた日に その5

長男と共に熊野神社に詣で、家に帰ってクレンペラー指揮フィルハーモニア管が伴奏するヴェートーヴェンの第三協奏曲をバレンボイムのピアノで聴いていた私は、突然そのCDのフォルテッシモをぶち破るような「ホー、ホケキョ!」という耳元の大きなさえずりにビックリ仰天してしまった。

見れば庭の柑橘樹の新緑の葉の間から渋い薄茶色の鶯が、パソコンのモニターに向かう余を見つめながら、またしても「ホー、ホケキョ!」と高らかに初夏の歌をうたうではないか。

このとき判然として余は悟った。

これやこの優美なる鶯こそは、過ぐる2002年の3月に忽然と身罷りし母上の生まれ変わりであることを……。


鶯よも一度聴かせよ母上に似たその声をもう一度

死に近き麝香揚羽よ食草をもはや選ばず産卵しおり

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