Monday, May 07, 2007

見城徹著「編集者という病い」を読む

降っても照っても第10回

1972年、イスラエルのテルアビブ郊外の空港で自動小銃を乱射しながら手投げ爆弾を投げ、自らを肉片と化して死んでいった奥平剛士。
その存在が、著者の不眠不休、獅子奮迅の出版活動を支えている、らしい。

連合赤軍の決死的闘争、というよりはイデオロギーを超越した自己滅却の蛮勇に衝撃を受け、いわば死の影で、死をバネにして、死からの跳躍を試みようとしているかのようである。

そうでなければあれほどの仕事ができるわけが無いと、妙に納得できる。

日本文芸史上樗陰以来最高最大の編集者が初めて書いた自伝である。といっても序文以外はすべてどこかに書いたものの寄せ集めであるのが残念だ。

ある夜、著者は私に「それでは今度一度お茶でも飲みましょう」と語ったが、お茶はついに飲まれずにおよそ20年の歳月が流れたのであった。

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