♪音楽千夜一夜 第236回
このところ毎日バッハのカンタータを聴いていますが、歳末になるとやっぱりバレエがみたくなる。というわけで吉田郁子主演・英国ロイヤルオペラの「ロメオとジュリエット」日本公演の映像を視聴してみました。
お馴染みプロコフィエフの悲恋物語を踊るのは、長らくこのバレエ団でプリンシパルとして活躍したという吉田嬢。まわりはみな巨大な毛唐ばかり。こんなに背丈が低くてちっぽけで痩せっぽちで大丈夫なのかなと心配でしたが、最後まで見事に踊りきったのでやっと安心しました。
この人の技量や迫力が抜群とはさらさら思えないが(その点ではロメオ役のスティーヴン・マックレーは素晴らしい!)彼女の最大の持ち味はそのパフォーマンスの繊細さと相手の男性側の高度の操作性にあるのですね。これが普通の毛唐女であればこんなに軽々と持ち上げたりぶっ飛ばせたりできっこない。パ・ド・ドゥの曲芸的な軽業はじつに彼女あってのものなのです。
私はプロコフィエフの音楽をあまり高く評価できません。本作でも特定の主題を乱用しすぎてくどいし、ピーターと狼のテーマまで流用する必要はないだろう。じつに下らない3流の作曲家だ。演奏はポリス・クルジーン指揮の東フィルでいずれも水準以下の凡演(「ティボルトの死」でも全然盛り上がらない)、ケネス・マクミランの演出はまずまずの出来でした。
出演
ジュリエット:吉田都、ロメオ:スティーヴン・マックレー、ティボルト:トーマス・ホワイトヘッド、べンヴォーリオ:セルゲイ・ポルーニン、パリス:ヨハネス・ステパネク
2010年6月29日 東京文化会館(東京・上野)
長身でモデルのように美しい隣家の佳人が越す朝かな 蝶人
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