闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.182
「12人の怒れる男」「狼たちの午後」「評決」のシドニー・ルメットが今年の4月に86歳で死んでいたなんてぜんぜん知らなかったよ。
彼はつとに社会派の巨匠と評価されているようだが、そんなことよりどんな作品でも役者の存在感を最大限に発揮させている点が評価できる。
テレビというメディアの腐敗と堕落を厳しく糾弾したこの作品では、視聴率獲得のためには人殺しさえも辞さないフェイ・ダナウエイーのあざとい魅力、おのれの主客の立場を喪失して狂っていく人気キャスターのピーター・フィンチの異常なペルソナ肥大、老練ウイリアム・ホールデンの死に際に渋い花を咲かせた演出の膂力が素晴らしい。
そして1976年という時点でテレビと言うメデイアの本質を鋭く洞察したバディ・チャイエフスキーの脚本にも拍手を惜しんではならない。そして俺たちは
I'm as mad as hell, and I'm not going to take this anymore!
という叫びをもう一度取り戻そうではないか!
喉ちんこ赤く腫れたり午前二時 蝶人
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