闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.174
はじめぐずぐず中ぱっぱ、終わりは脱兎のごとし、という美男美女の年代物時の恋愛劇。
出だしの演出は最悪でゲーリー・クーパーもマレーネ・デートリッヒも下等な演技を繰り広げる。デートリッヒはコケチッシュだがフランス語の唄ときたら下手くそで、これ見よがしな脚線も、現代の東京を闊歩する女性に比べたら醜いくらいの代物である。
が、最後の最後で外人部隊のさすらいのクーパーが砂漠の彼方に消えてゆこうとする瞬間に、遅まきながらこのラブストーリがゆらりと立ち上がる。
やがて意識の底に押さえていた女の恋情が鎌首をもたげ、彼女がヒールを砂の上に脱ぎ捨てるところで、劇的なカタストロフィが形づくられる。それまでくだらない映像の連続をじっと我慢していた観客のフラストレーションがいっきに解消され、ある種のカタルシスが得られるのである。
しかし砂丘の向こうに消えていった2人には、その後いったいそのような運命が待ちうけていたのだろう。誰か続編を作って見せてくれないだろうか?
かにかくに平成の世も暮れかかる 蝶人
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